終末医療の難しさ。パート3

2011年07月22日 04:21

7月14日木曜日
昨晩、みどりさんの所に来てくれた看護士さんがちょっと怖かったそうだ。
寝たきり状態で体が痛くなる、頭の場所を変えてもらった時、
普通なら「このポジションでいいですか~」と聞いてもらえるのだが、頭がベッドにあたる状態のまま放置されてしまったそうだ。
しかも、「うまくしゃべれないなら呼ばないで」と言われたようで。
夜勤のナースは2人、オペもあって忙しかったそうだ。
勿論、生き死にの状態の患者さんが優先されるべき。
病院の体制として夜勤のナース不足が問題なのかもしれない。

この事件をきっかけに美登里さんは命綱とも言えるナースコールのボタンを押す事ができなくなってしまった。
殆ど声がでない状態で買い物にでかけた僕に電話がかかってきて、病院にかけ戻る事が何度もあった。

前回お話した時に「何かあったら意見箱に書いて入れて下さい」と院長先生が言ってくれていたのを思い出した。
ちょうど、お昼すぎに院長先生がいたのでお話してみた。
僕は「殆どのナースさんがよくしてくれていて、たまたま忙しい時にぞんざいな対応になったんじゃないかと思います、そもそも、医療従事者を志す人に悪い人がいるわけないので、、、」


院長先生は「うちは急性期医療を扱っていて夜勤は手一杯になる事も多々ある。。」
「看護士に指導はしていきますが、今日の明日ですぐには変われない、しかも、10のうちの1のミスを責めると看護士が泣いてしまう」。

え?美登里さんは後何日生きられるか分からないのに、今後も同じような対応があったら困ってしまう。

「それをするのがあなたの仕事でしょう!」と切れたいのをこらえて、「ご存知の通りうちの母はもう先が長くないです、できるだけ心配させず、できるだけ笑顔でいられる時間を長くしてあげたいので、よろしくお願いします」と話した。

残念な事に院長先生が声をあらげ「あなたもマスコミの人間なら病院側の悪い所だけを言うんじゃなくて。。」
「そんな事言ってないですよ親切に説明してくれる看護士さんが殆どだし、僕たちではできない事をしてもらっているので感謝しています」と言っても、「私にはそんな風に聞こえないです」と大声で話すものだから病室から妹が出て来た。

病院の院長という立場の人が患者のいる病室の前に大声で切れるように話すのが僕には信じがたい行為だ。
権力と立場のある人はすぐに名誉毀損と言われたりするし、そんな事言っていない!と言われてしまう。
ジャーナリストとしての今までの経験が自然に院長先生との会話を録音させていた。

院長先生は「マスコミの人間なら」と切れたが、僕はマスコミの人間として病院を取材しているのではなく、一人の患者の肉親としてお話しているんだけど。

現場には結婚式につき合ってくれた銀行員の彼女がいた。
「急に改革できなくても、対処しますっていうよね~。銀行でお客さんにクレーム付けられたら、お客さんに否があっても謝るよ、お医者さんはやっぱり上から目線だよ」と悔し涙を流していた。

もう一回トラブルがあったら僕がみどりさんを抱っこしてでも他の病院へ移るつもりでいた。
が、実際は病院を移るなんて事が簡単でないと思っていた。
改めて終末医療の難しさを実感した。

とPCに書いていると、近々にお父さんを亡くしたナースが来てくれた。
自分が勤務する病院で末期がんのお父さんを亡くしたそうだ。
「こんな所でお話するのもなんですけど、身内を亡くして、改めて患者さんやご家族の方の気持ちが分かります」
と話してくれた。
「松本さん、また来ますからね~、イヤって言っても来ちゃうから、隣に寝ちゃいますよ~」と。
病院の看護士に対して不信感で一杯だったみどりさんが、笑顔で手をふっていた。
残念な事にこの素敵な看護士さんとみどりさんが再び会う事はなかった。

凄いナースがいてくれた。家族で「ナースの指名制度があったらいいのにね~」。と話した。
今回はあまりにも時間がなかったが、本来末期がんの患者さんは病院じゃなくてホスピスに行くのがよいのかもしれない。

相変わらず主治医の先生は良い対応をしてくれていて、病状の説明をしてくれた。
これも仕事柄か、深刻な内容を聞かされているのに僕の目は病院のPCのナースが書いたコメント欄を見つけてしまった。
その一文には「院長とやり取りがあり、長男しぶしぶ納得」と書かれてあった。
あらあら、こんなコメントがあったらナース全体が敵になっちゃうじゃん。
自分ではできない医療行為をしてもらっている患者、家族の立場は弱い。言いたい事があっても言わない、言えない人が多いようだ。

主治医の先生は理解がある人と思えたので、院長先生とのやりとりの事も話した。

最終回へつづく

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コメント

  1. なずなっち | URL | soaEAGEA

    Re: 終末医療の難しさ。パート3

    おかあさま、残念でしたね。でも、最期の時間をできるだけたくさんの方々と過ごすことができたのは喜んでおられることと思います。

    終末医療・・

    今から20年以上前のことですが、母が死の床で戦っていた時、医者は「病人は最期まで耳はよく聞こえるので、病名や病状などはできるだけそばで話さないように」(ショックを与えるといけないから)と言われたのに、看護師が(当時は看護婦)病名をあっさりと大きな声で本人のすぐそばで言ってしまったのにはビックリしました。まさかと思ってたので、止めようもなく、母に聞こえていたかどうかは確かめようのない状態だったのでわかりませんが・・


    病院の責任者たる院長先生にはもっとどっしりとかまえていてもらいたいですし、患者の家族の職業うんぬんなんてこの場合、関係ないですよね。死の前にはすべての人間は平等です。

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