使わなかった遺書

2011年07月19日 02:31

海外取材に出かける時、遺書を書き机の上に置いて置く。
無事帰国して破るのが習慣になっていた。

昨年のアフガニスタン。
治安が悪化しているし、数日、アフガニスタンの友人の手助けなしで一人で動かなければならなかった。
その時、慌ててI phoneのテキストに書いた遺書。
おかげさまで使わずにすんだ。


母上

僕はあなたの息子であった事を誇りに思います。
幼き頃、一緒の時間を過ごせず、寂しい思いもしましたが、あなたは大人になるまて、大人になってからも僕を見守り続けてくれました。

借金までして大学に行かせてくれ、売れないカメラマンを続け、何度も家賃を払ってもらいました。
母上、あなたはいつも、私が離婚しちゃったからあなた達に迷惑をかけてしまった。と言いますが、
十分返してもらいましたし、僕は普通の家の子供より幸せだったと思っています。

何度も、教師や、一般の職を勧められたけど、伝える事によって人を助けることもできるカメラマンという仕事を続けたかったです。
テレビや新聞に出る機会が多くなって「あなたがやりたかった事が分かった」と母上に言ってもらえたとき、ようやく少しだけ親孝行できたと思いました。

この文章を読んでいるということは僕が先に逝ったということでしょう。
僕は後悔していません。
やるべき事を最後までやり続けた息子を誇りに思って下さい。
長い間ありがとう。
親愛なる母上へ
息子より。

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コメント

  1. kazu | URL | WO.8kER.

    Re: 使わなかった遺書

    この文章をお母様にお見せしないですんだ、ということが 最高の親孝行だったと思います。 
    いつもお話を聞かせていただくだけですが 久保田さんの想いが身にしみました。

  2. た。 | URL | -

    最後のブロックの最初の一行を除き、

    是非お母様に伝えて欲しいです。きっと空の上で優しく微笑んでくださると思います。

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