写真集を買ってくれた人のお話。

2011年01月14日 13:26

先日、アフガニスタンの写真集Afghan Blueを買って下さった方かたメールが届いた。
世界で一冊の写真集にしたいということでサインをお願いされ、久保田ショップから購入して下さった。
1_1s_24.jpg

久保田弘信の作品ショップ
勿論、サインはよろこんで。
メールを読んで僕は不覚にも涙をこらえる事ができなかった。
ご本人の承諾が得られたので、写真集を買って下さった方と娘さんのエピソードを紹介します。

以降原文にて
実は写真集を見ていた時に、ちょっと泣ける出来事がありました。4歳になる娘が「それ、あたしも、みたい」と写真集を覗き込んできました。
しばらくは私の膝の上で一緒に見ていたのですが、写真の子供たちを指差して 

「とおいくににすんでる、おともだちね。もしかして、わるいおみず、のんでる?」 

と聞いてきました。

わるいおみず、について説明させていただくと、娘はカトリック幼稚園に通っていて、年に2回、恵まれない人々のために募金をします。フィオレット週間、といって、幼稚園から渡された貯金箱に1週間毎日、募金をするのです。 



ただ募金をするのではなく 
「お母さんのお手伝いをして、ご褒美にもらったお金を入れる」 
「ジュースを飲みたかったけど、我慢して水を飲みました。ジュースを飲んだつもりで、ジュース代を入れます」 
といったお手伝いや我慢を覚えさせる目的もあります。 

幼稚園では先生方が 

「遠い国に住んでいるみんなのお友達は、悪いお水しか飲めなくて、おなかが痛くなったり、ご病気になったりします。ごはんが食べられなくて、亡くなってしまうお友達もいます。みんなが少し我慢したり、お手伝いしたり、そういうお金を貯めて、送ってあげましょう。そのお金が一枚の毛布、一切れのパンになります」 

と説明してくださり、娘はそれを聞くと俄然やる気になるのです。

おまけに私もコーヒーやジュースを禁止されます。 

そこから、写真集の中の子供たちを「とおいくににすむ、わるいおみずしかのめない、おともだち」と発想したようでした。
最初は子供達の心配をしていましたが、今度は久保田さんのことを聞いてきました。 

昨年、久保田さんが「笑っていいとも」に出演なさった時、娘は風邪をひいて幼稚園を休んでいたので「渡部陽一さんの隣に座っていた人が撮った写真」と説明しました。
するとコーナーの内容が理解出来ていた娘の中で 

戦場ジャーナリストは取材費を自分で稼ぐ→取材費を捻出するのが大変→外国で体調を崩したら病院に行くお金がない... 

と勝手にリンクさせたようで、自分のクマの財布を持ってきて、テーブルの上にお金を並べ始めました。 

「たいへんじゃないの!このおかね、しゃしんをとったおにいさんに、あげたい!びょういんのおかねに、してもらいたい。あたしの、とおいくにのおともだち、たすけてくれたんでしょ?じゃあ、あたしが、しゃしんとったおにいさん、たすけるの」 

と言いました。

久保田さんが異国で病院に行けないとかわいそうだから、私が医療費を払う、と言うのです。たった4歳の娘が「自分以外の誰か」を思いやる気持ちに、涙が出そうでした。医師が不足しているという現実も娘にはわからないし、どう説明してら良いのか、と胸がいっぱいになりました(親バカですみません)



娘には「その気持ち、写真を撮ったお兄さんに伝えておくね。きっと喜んでくださるから」と言い聞かせました。久保田さんの写真を見た4歳の女の子が感じたこと、それが少しでも励みになれば、と思い、お知らせしました。 



育児においては、娘から教わること、勉強になることばかりですが、今回も人間同士が助けあうこと、ホントに考えさせられました。 

写真を撮る仕事って、素晴らしいですね。真実を伝えるだけでなく、4歳の女の子にも影響を与えるんですから、意義あるお仕事だと思います。 

私たちにはわからない苦悩、おありだろうと思います。それを考えたら簡単に「応援しています」と言って良いものか、迷ったりもしますが、娘の態度を見て、今は素直に「応援し続けていきます」と言いたいです。 

次回、取材に行かれる際は、私の娘が久保田さんの医療費を払いますので、ご安心ください(笑)写真集、本当にありがとうございました。世界に1冊しかない大事な宝物です。


この数年、危険な目にも遭い、職業としてのジャーナリストが成立しなくなりつつ、何度も何度も引退を考えていた。(考えている)。
このメールを読ませてもらって、改めて、僕にもまだ伝えられる事があるんだ。
この仕事をしてきて本当に良かったと思った。
クマのお財布を持ってきてお金を並べてくれた4歳の女の子。名前も知らないけど、本当にありがとう。






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コメント

  1. mu-cun** | URL | PAdImsec

    Re: 写真集を買ってくれた人のお話。

    めちゃ感動しました。
    素晴らしいお子さんですね。
    旨く、言葉にできないけど、純粋に他者への思いやりが心に伝わります。

    すっかり、めちゃ大人なのに・・・。
    でも、いつまでも、この思いにならねばと思います。

    久保田さん、心強い応援者さんですね。
    紹介してくださって、ありがとうございました。

  2. ツッチ~ | URL | WqNu7.1k

    ぼくは最近、大切なことを忘れていたような……

  3. | |

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  4. Tateiwa | URL | H84T0CS.

    Re: コメントせずにはいられない

    ので

    純粋な心で人を想う姿に、大切な事を教えていただきました

    涙をこらえる事が出来ないのは、久保田さんだけではありませんね

    深謝

  5. アニラ | URL | -

    すてきなお話を紹介して下さって、ありがとうございました。
    私も、こんな時間を子どもたちと一緒に過ごせる事ができたらと思います。
    泣けるのは久保田さんだけではありません。寒い夜に、心も目頭も温かくなりました。

  6. cathy | URL | -

    あたたかいです。

    その女の子の心のあたたかさに、目頭が熱くなりました。
    そして、年齢性別問わず、さまざまな人に訴え、親しめ、愛されるステキな写真を撮る、久保田さんのお人柄だなぁ、と思いました。

    また京都にきたら教えてください。




    京都の保育士より★

  7. Yoko-Hi | URL | -

    Re: 写真集を買ってくれた人のお話。

    きっと知られる事もなかっただろう家庭の中のホンの1コマ。
    なのに、重いものをいとも簡単に動かせる気がしてしまうほどの
    力を感じてしまいます。
    それを久保田さんの写真が引き出したのですね。
    久保田さんも親御さんも4歳の女の子もみんなスゴイ!です。

    ランドセルと同じく!?
    これがトップニュースとして流されてもいいのではないかと
    思われます・・・。

    自分にとって、誰かにとって、みんなにとって、
    大事な事って、なんなのだろう・・・。
    と、思いました。

  8. | |

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  9. takeko | URL | -

    Re: 写真集を買ってくれた人のお話。

    感動しました。

    だから子どもが好きなんです!
    純粋で素直で清らかな心を持っています。
    そこから私たちが学ぶことって、限りなく普遍的に多くあると思います。
    大人が子どもから学ぶ。
    大人が子どもに助けられる。
    などと言いますが、結局のところ人間同士の救い合いなのでしょうね。

    久保田さんのやってらっしゃることには深い意義があります!
    多くの人にその意義は伝わっているかと思います!

    自分次第の人生の中でどう生きるか、久保田さんご自身の判断で良いのだと感じます。

  10. OKnoOKEI | URL | -

    Re: 写真集を買ってくれた人のお話。

    命は尊い。
    私は昨年ブラジルのスラム街にボランティアの予定でしたが
    治安が悪く中止になりました
    そんな中で困窮しまくる子供たちがいると思うと
    切なくなります
    私にも何かできることがあるはず
    そんな風に思います

  11. K.K | URL | -

    Re: 写真集を買ってくれた人のお話。

    何回読み直しても感動しています。
    純粋なお子さんの気持ちとお母さんの想いが伝わり
    やっぱり久保田さんはすごい人なんだなあと思います。
    それから、余計なことかも知れませんが…。
    「無理し過ぎないようにお身体大切にされて下さいね」

  12. まつかげ | URL | -

    Re: 写真集を買ってくれた人のお話。

    仏教の説話のようなお話ですね。まじめにしたことは必ず伝わることのお手本のようです。
    職業としてのフォトジャーナリストは大変だと思います。大勢のカメラマンの方から同じことを伺いました。どうされるかは、久保田さんの人生ですから他人がとやかく言うべきではなと思っています。ただ、私もこのお子さんと思いは同じです。久保田さんの写真を待っている人はいます。久保田さんの写真で励まされている人も必ずいます。それだけは、忘れないでいてください。
    「どこかで誰かが見ていてくれる」日本一の斬られ役、福本清三さんの言葉です。

  13. | URL | -

    Re: 写真集を買ってくれた人のお話。

    おひさです。
    いい話ですね。僕も元気をもらいました。

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