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緒方貞子さん死去

2019年10月29日 12:32

元国連難民高等弁務官であり、日本のJICAの理事長を務めた緒方貞子さんが92歳でその人生を終えた。

世界がアフガニスタンを無視していた頃、アフガニスタンを助けなければならないと発言してくれていた人。
そして、2001年アフガニスタン戦争が起き、再び大量のアフガニスタン難民が周辺諸国へ逃れた。
膨大な難民に支援が追いつかなかった。
アフガニスタン情勢に関する安保理公開討論で緒方氏は演説をし、アフガニスタン支援を訴えてくれた。
緒方氏はアフガニスタンとパキスタンの国境にあるIDPキャンプやパキスタン国内の難民キャンプを訪れ、現場目線で国際社会にアフガニスタン難民の現状を知らしめてくれた。
現場を見てきた人だからこそ、緒方氏の言葉は世界に受け入れられたと思う。

僕は緒方貞子さんと2度しかお会いしたことがない。
日本でのレセプションの会場で紹介してもらいご挨拶した時、名刺をお渡しし、「アフガニスタン難民をずっと取材してきたジャーナリストの久保田と申します」とご挨拶。
そうですか!くらいで終わると思っていたが、緒方貞子さんは「あなたなのですね。日本人のジャーナリストが取材だけでなく難民支援に協力してくれていると聞いていましたよ」と言ってくれた。

2002年の冬。
取材しながら、個人で難民支援を続けていた。
UNHCRとも連携を取りながら、最終的に僕が面倒を見ていた700人近い難民をUNHCRの難民キャンプに入れたもらった。
そんな縁があって、UNHCRのChief Cabinetというトップクラスの人と会食の機会があった。
彼は僕のことを「君はフューマニタリアン ジャーナリストだね〜」と言ってくれた。
緒方貞子さんは彼から日本人のジャーナリストで、他のジャーナリストが注目しない辺境の地を取材しながら、難民を助けている変わった人がいる、と聞いていたそうだ。

僕がカメラマンからジャーナリストになったきっかけがアフガニスタン。
緒方貞子さんもアフガニスタンにはかなりの思入れがあったようだ。
そんなご縁もあって、僕の2冊目のアフガニスタンの写真集の帯にコメントを依頼していた。
当時、緒方貞子さんはUNHCRの仕事を終え、JICAの理事長という立場だった。
写真集が出来上がり、あとは帯だけ!という時期になっても、一向にお返事はこなかった。
お忙しい人だし、これはもう無理なのか、出版社と帯どうしましょう?あまり出版を先延ばししたくないし、、
という話になり、ダメ元で久保田が電話してみます。と

なんとか電話を取り繋いでもらい、直接お話ができた。
「実は緒方さんにアフガニスタンの写真集の帯をお願いしていまして。。」
「あらそうですの、ごめんなさい、確認してなくて、すぐに書きますわ」と言われ、翌日には帯のコメントを下さった。
元UNHCRのハイコミッショナー、当時、JICAの理事長という立場だとコメントを依頼する事案がとても多くて、山積みになっていたそうだ。
IMG_8583.jpg

写真集に対してコメントをお願いするのに、こんな風に書いてください!なんて依頼はもちろんできない。
緒方さん自身の言葉で、
「アフガニスタンの人たちの現在、そして未来に思いをはせていただきたいと思っております。」
と書いてもらえたこと、とても嬉しい。
緒方さんは帯だけでなく、本書に寄せて、写真集の始まり書きにもコメントを下さった。

アフガニスタンもイラクもシリアも、難民問題は簡単に解決しない。
僕たちに何ができるかわからないが、戦争が起きた時だけでなく、その後も注目し続けて欲しい。
国連難民高等弁務官という立場でアフガニスタンに関わってくれた緒方さん、一介のジャーナリストとしてアフガニスタンに関わってきた久保田弘信。
想いは同じだったと思う。

残念なことに、現在の日本ではアフガニスタンの報道はほとんどない。
2001年の戦争の後、いっとき、アフガニスタンが平和に向かいそうな時期があったが、2010年頃から治安が悪化し、帰還したアフガニスタンの人が再び難民になるケースも多くなっている。
緒方貞子さんが亡くなったことで、特番が組まれることもあるのではないかと想像する。
アフガニスタンのことが少しでもニュースになってくれたら。

緒方さんの言葉、「そして未来に思いをはせていただきたいと思っております。」

謹んで、ご冥福をお祈りいたします。

久保田弘信


久保田弘信の最新刊「世界のいまを伝えたい」、「僕が見たアフガニスタン」あり

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