友の母

2016年01月15日 16:17

夏の終わり、友人から母親の写真を撮って欲しいと依頼があった。
入退院を繰り返しいて、元気なうちに写真を撮って欲しいということだった。

友の母は自分の病状を知っていて、「葬式の写真もないんじゃ困るよね〜」と話していたそうだ。
僕の友は、出会いは単なるダーツバー?だが、僕が海外に飛ぶ前に必ず一杯やってくれる、、
いつだったろう、戦場へ向かう前日、どうしても「ジパング」の最終巻を読みたくなって、夜中に古本屋を何件も探し歩いてくれた友。

「ピーちゃん、謝礼は、牛皇食べ放題でもいいかな⁉」
勿論、NOの返事があるはずもない。

友の母は、友人宅にお邪魔した時、何度か挨拶した程度。

病院に着くと、「すいませんね〜忙しいところ」。顔色も悪くないし、予想したより元気そうでちょっと安心。
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病室で撮影するという案もあったのだが、花曇り、暑くも寒くもなくちょうどいい天気だったので病院の玄関近くで撮影。
が、しかし、後ろのフェンスが気になる。
どこか良い場所はないかと周りを見渡すと、病院の裏手に細い路地があって、お花が咲いているのが見えた。

「せっかくだから、病院の外で撮影しましょうよ」と親子を誘い出し、病院の外へ。
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緑をバックに親子のツーショットを撮影。
普段だったら照れくさくて、寄り添えないかも。

カメラマンの仕事はシャッターを押すことではなくて、被写体に気持ち良く楽しく写真を撮ってもらう状況を作り出すことだと思う。
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お母さん、ちょっとお花の近くに寄ってください。
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もしかして、いい匂いするんじゃないですか〜
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黄色っぽい色のお花が気に入った様子の母。
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花を愛でる。
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母が気に入ったお花を胸につけてあげる息子
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頭にも
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そうこうしているうちに母は良い笑顔を見せてくれるようになり
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再び息子とツーショット
楽しい時間はあっという間に過ぎ、
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病院へ戻る
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エレベーターの中でも母が嬉しそうで、僕も嬉しかった
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最後に病室で一枚。

普段、シャッタ回数が少ない僕だが、わずか30分ほどで600カット近く撮影した。
おそらく、二度とないチャンス。
限られた条件の中で精一杯の写真を、写真を撮る楽しい時間を提供したかった。

ヨーロッパ取材中
近所のレストランで一人夕食を食べていた。
Wi-Fiがあったのでネットに接続した瞬間。
「お母さんがありがとうって言ってたよ!
今日の午後4時20分に亡くなりました。」

わかっていたはず、覚悟していたはずなのに、食事の手が止まり、涙は止められなかった。
「いつ帰ってくる⁉
予定が無かったらでいいので写真お願い出来る⁉」

そっか〜。カメラマンとして最後までおつきあいしなきゃなんだな〜。
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帰国、翌日、友の母の葬儀を撮影した。
僕が撮影した写真が祭壇に。
切り抜き、白バックにしないでオリジナルの方が良かったのにな〜。と思う。

全員のご焼香が終わった後、斎場の人がカメラマンさんもどうそ!と身振りで案内してくれた。
2台のカメラを置き、焼香台へ。
数か月前、元気そうに笑顔を見せてくれた友の母。
ご焼香をするとき視界が歪んだ。
喪主の友が気丈に振舞っているのに、第三者が涙など見せて良いはずがない。
唇を噛み締め、必死にこらえた。

カメラマンとして様々な写真を撮影してきた。
友の母を撮影して、自分がカメラマンで本当に良かったと思った。
自分の母親にはまともな葬儀さえしてあげられなかった。

帰宅した僕はキャットタワーのお線香台に線香をあげ、美里登さん、チョビ、友人の母が逝ったからよろしくね。
とつぶやいた。

久保田ショップ





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